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自動車が通るための道路高速自動車道があったり、人が歩くための遊歩道があっただけで、人も歩ければ、車も通れるような一般の道路はなかったのである。
ところがインターネットは、この「道路」の上をどんなものでも通れるようにしてしまった。
静止画像であれ、文字であれ、音声であれ、コンピュータを動かすためのソフトウェアであれ、なんでも通してしまうのである。
だから、テレビのような番組も、新聞のようなニュースも、これまで私たちが知っていたスタイルの情報をインターネットで手に入れることができるのだ。
さまざまな姿をした情報を伝える通信ネットワーク。
そしてこれを次々につなげることによって全世界規模のネットワークにしてしまったのが、インターネットなのである。
インターネットは、どのようにはじまり、どのような経過をたどって成長したのだろうか。
インターネットの歴史は、一九六九年にまでさかのぼる。
アメリカ国防総省高等研究計画局が運用を開始したアルバネット(ARPAnet)がその原点だ。
六〇年代後半は、ベトナム戦争など東西の緊張が高まっていた時代である。
核攻撃にも耐えられる、連邦政府の関係する研究センターを結ぶネットワークをつくろうとしたのである。
最初はコンピュータとコンピュータを結ぶ形のネットワークだったが、七〇年には、データを複数のパケット(小包)にして送るパケット交換網で四つの大学を結ぶネットワークが始動した。
これがインターネットへ発展していくのである。
そして、TCP/IPと呼ばれている、コンピュータをネットワークに接続するための手順(プロトコル)が七四年に発表された。
アメリカ 高等研究計画局は、この手順を無料で、しかも無制限に世界に公開した。
このことによって、後に、TCP/IPは、コンピュータを接続するさいの世界的標準になっていく。
これとは別に、全米科学財団(NSF=National Science FI乱回目)は一九七九年、大学などのコンピュータセンターを結ぶコンピュータ科学研究ネットワークをつくった。
そして翌年には、このネットとアルバネットが接続され、インターネットの形が整った。
当初軍事目的で始められたネットワークも学術目的で使われることが多くなったため、軍用部分(MILnet)は分離された。
一九八八年、全米科学財団は全米各地のスーパーコンピュータを結び、共同利用しようネットとは何なのか?というNSFネットを構築する。
これもインターネットの一部となる。
九〇年にはアルバネットが廃止され、NSFネットがインターネットの基幹的なネットワークとなる。
このようにインターネットは、軍事目的から出発し、学術ネットとして成長した。
当初、インターネットに接続するためには、政府機関が支援していることが必要であった。
学術研究機関や企業の公的学術研究以外の目的で使うことはできなかった。
後に、この原則は変更され、インターネットへの接続理由は問われないこととなった。
九一年には商用インターネット協会(CIX)が設立され、アメリカ政府の管轄外で資金提供されている部分での商用利用を制限しないという合意も成立した。
これによりインターネットのビジネス利用は飛躍的に増え、世の関心を呼ぶことになる。
最近のブームというべきインターネットへの関心は、際限なく高まるかのようにみえるインターネットの利便性がビジネスで利用できるようになったことによるのである。
アメリカでの発展をみてきたが、日本ではどうだろうか。
日本のインターネットの歴史は、八四年に実験が開始されたジュネットによって始まる。
このネットワークは、UUCPという接続手順(プロトコル)を用いていた。
一方これと並行して、WIDEプロジェクトという実験が八六年に開始され、この実験の基盤としてWIDEインターネットが運用されている。
このネットワークは、いくつかのネットワークとの間で相互接続をしている。
九三年には、日本にも商用インターネットが登場。
この商用インターネットを利用すれば、誰でもインターネットを利用できるようになった。
さらにパソコン通信ネットワークからの接続も行われるようになり、九四年は、パソコン通信ネットワークによるインターネット接続急増の年となった。
インターネットの歴史をたどってみると、TCP/IPという通信手順が、誰でも利用できる形で普及したことが、インターネットが広がってきた理由であることが理解できる。
この通信プロトコルは、いうなれば世界共通語。
共通語があることで、どこの国のコンピュータでも、ネットワークでも相互につなぐことができる。
また、ネットワークの自由な利用という原則があることも見逃せない。
インターネットを使って、さまざまな情報を渉猟することをネットーサーフィンというが(一一六ページ参照)、学術研究などと硬く考えずとも、普通の人が情報を求めて世界中をさまよう時代が来ている。
インターネットの入口として使われるパソコン通信
おなじネットワークだが、インターネットと少し違うネットワークがある。
パソコン通信ネットワークだ。
このネットワークを利用する人は増え続け、日本での利用者は、二五〇万人を超えるといわれている。
ただ、この数字は各パソコン通信ネットワークのID(銀行の口座番号のようなもの)発行数を合計したものなので、一人でいくつものネットのIDをもつ人も多いし、IDをもっていても実際に使わない人もいるので、これだけの人々が日常的にパソコン通信を使っているとは限らない。
このパソコン通信では、電話機のかわりにパソコンやワープロを電話回線に接続し、さらにホストコンピュータにつなぐ。
そしてホストコンピュータに蓄積されている情報を引き出す。
また、友人のメールボックスに電子メールを送ることもできる。
このようにインターネットと同じような機能がある。
パソコン通信は集中型ネットワーク(ワープロ)コンピュータ(パソコン) インターネットの普及によって起こりそうなことが、すでにパソコン通信の世界で起こっている。
これからの変化を知るうえで参考になるので、パソコン通信でどのようなことが起こっているか、概略を説明しておこう。
これまでのように、主に直接出会うことによって形づくられてきたさまざまな関係とは違った人づきあいが、パソコン通信ではじまっている。
見知らぬ人と共通のテーマについて話し合う、それがきっかけで親しくなっていく、などということが普通になっている。
パソコン通信ネットワークには、シグとかフォ上フムとか電子会議とか呼ばれる同じ趣味やテーマをもった人々が書き込める電子掲示板がある。
きわめて専門性の高いものから日常の会話まで、内容はさまざま。
書き込む人々の住んでいる地域は、北は北海道から南は沖縄まで全国津々浦々だ。
海外から書き込む人もいる。
主に文字でやりとりしているので書き込むという表現をするが、会話に近いものである。
ここでやりとりをしていると、たとえ一度も出会ったことのない人とでも親しくなれる。
パソコン通信が出現する以前の人と人の交流というのは、直接会うことが基本になっていた。
電話でのやりとりもI度仝つてから行われることが多かった。
ところがパソコン通信が出現するや、一度も会ったことのない人との交流が当たり前のようになってしまった。
パソコン通信によって新たな社会ができつつあるといっても過言ではないだろう。
パソコン通信ネットワークによって作り出される情報空間をサイバースペースなどと呼ぶこともある。
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